韓国IPTABの特許審判:無効審判・権利範囲確認審判
韓国知識財産審判院(IPTAB)は、審査官の拒絶決定に対する不服と、登録特許の有効性・権利範囲に関する審判を扱う準司法機関である。IPTABは損害賠償や侵害差止めを命じない。民事救済は裁判所が判断する。

特許無効審判
利害関係人又は審査官は、登録特許について請求項ごとに無効審判を請求できる。主な無効理由は次のとおりである。
- 新規性又は進歩性の欠如
- 実施可能要件、サポート要件又は明確性の不備
- 新規事項を含む補正その他の不適法な補正
- 冒認、優先権その他の権利上の欠陥
- 特許対象となる発明への非該当
無効審決が確定すると、対象請求項は原則として初めから存在しなかったものとみなされる。登録後に発生した理由による無効では、その理由が生じた時点から存在しなかったものとして扱われる。権利満了後も、過去の損害賠償その他の法律上の利益がある場合は無効審判を請求できる。
訂正
特許権者は、請求項の減縮、誤記の訂正又は不明瞭な記載の明確化など、法律で認められた範囲で訂正を求めることができる。訂正は新規事項を追加せず、請求項を実質的に拡張・変更しないことが必要である。
無効審判係属中は、当該審判で認められる訂正請求の方法と時期に従う。訂正後の請求項が対象製品を引き続きカバーするか、有効性が改善するか、第三者の利益にどのような影響があるかを同時に検討する。
権利範囲確認審判
特許権者又は利害関係人は、具体的に特定した製品又は方法が特許請求の範囲に属するかについて確認審判を請求できる。対象発明は、実際の製品・工程と対比できる程度に文言、図面及び動作条件で特定する。
- 積極的権利範囲確認審判は、通常、特許権者側が相手方の実施技術が権利範囲に属することの確認を求める。
- 消極的権利範囲確認審判は、通常、実施者側が自己の技術が権利範囲に属しないことの確認を求める。
確認審判は、記載された対象発明と請求項との技術的対比を判断する。実際の製品と異なる抽象的な説明では、判断の事業上の価値が低く、確認の利益が否定される場合がある。民事侵害訴訟における損害、差止要件その他の抗弁を一括して判断する手続ではない。
審理
審判請求書には、当事者、対象特許・請求項、求める審決、事実、法律上の理由及び証拠を記載する。被請求人は答弁書を提出し、当事者は追加書面と証拠を提出できる。必要に応じて口頭審理又は技術説明が行われる。
証拠には、特許文献、論文、製品資料、実験結果、専門家意見、証人陳述及び現物試料を含めることができる。外国語資料は韓国語訳を付し、主張する無効理由又は技術対比との関係を明示する。
迅速・優先審判
IPTABの公式FAQでは、一般事件の平均処理期間を約8か月とし、要件を満たす事件について迅速審判は申立日から3か月、優先審判は6か月で審決することを目標としている。侵害訴訟が係属する事件などが対象となり得るが、適格性と実際の処理期間は案件ごとに確認する。
特許法院への出訴
IPTABの審決に不服がある当事者は、原則として審決謄本の送達日から30日以内に特許法院へ審決取消訴訟を提起する。特許法院の判決に対する上告は大法院が扱う。30日の期間には翻訳、社内承認及び訴状準備も含まれるため、審決前から争点と不服方針を整理する。
侵害訴訟との調整
IPTAB審判と民事侵害訴訟は並行して進行し得る。民事裁判所が審判結果を待つため訴訟を中止するとは限らない。請求項解釈、製品説明、実験条件及び先行技術に関する説明を両手続で整合させる。侵害を主張する広い解釈は無効資料の範囲を広げ、有効性を維持する狭い解釈は侵害主張を弱める場合がある。
手続選択
- 特許又は特定請求項の遡及的な無効を求める場合は無効審判を検討する。
- 特定製品・工程の非属否について行政判断を得る場合は消極的権利範囲確認審判を検討する。
- 特許権者が技術対比の判断を権利行使に利用する場合は積極的権利範囲確認審判を検討する。
- 先行技術、速度、民事訴訟の日程及び不利な審決の影響を踏まえ、審判を提起しない選択も比較する。
公式資料
法務・編集レビュー:2026年7月20日。本記事は一般的な制度情報であり、実際の手続と期限は審判記録及び送達記録に基づいて確認する必要がある。