中国MUJI商標紛争の教訓:商標は名称だけでなく商品区分が重要です

Pine IP Firm
2026年7月6日

同じブランド名を登録していたのに、なぜ問題になったのか

海外進出を準備する企業は、まずブランド名を検討します。現地で自然に受け入れられるか、類似商標があるか、登録可能かを確認します。しかし商標実務では、名称と同じくらい重要なものがあります。どの商品区分とどの指定商品をカバーするかです。

中国MUJI商標紛争から見る商品区分戦略
中国MUJI紛争は、商標戦略が名称だけでなく商品区分設計の問題でもあることを示しています。

中国で発生したMUJI、すなわち無印良品の商標紛争は、この点をよく示しています。MUJIは中国で「无印良品」という中国語ブランドを複数の商品区分で登録していました。しかし、タオル、寝具、織物などを含む第24類については十分な権利確保ができていませんでした。

一方、中国企業は当該区分で「无印良品」商標を取得し、その権利を根拠にMUJI側の一部商品の販売や表示が問題になりました。結果として、MUJI側は中国で一部商品について損害賠償と謝罪命令を受ける状況に至りました。

商標権はすべての商品に自動的に及びません

商標を登録すれば、その名称をすべての分野で独占できると誤解されることがあります。しかし商標権は、出願時に指定した商品区分と指定商品を中心に保護されます。重要な商品区分が抜けていれば、同じブランド名を登録していても権利の空白が残ります。

MUJI事件で問題になった第24類は、ライフスタイルブランドにとって決して周辺的な分野ではありません。ブランドが成長すれば、寝具、ファブリック、タオル、インテリア用品へ自然に拡張する可能性が高いからです。

ライフスタイルブランドでは広い区分設計が必要です

ライフスタイルブランドは、文具や生活雑貨から始まっても、衣類、家具、化粧品、食品、キッチン用品、寝具、香り製品、インテリア用品へ広がることがあります。

ライフスタイルブランドの商品区分ポートフォリオ
商標ポートフォリオは、現在の商品だけでなく、将来使用する可能性のある隣接区分まで考慮して設計すべきです。

出願初期には費用を抑えるため、現在販売している商品だけを対象にすることがあります。しかし海外市場では、一度逃した区分を後から取り戻すことが難しい場合があります。中国のような先願主義の市場では、第三者が先に出願・登録するリスクがあります。

海外商標は現在の販売商品だけで判断してはいけません

海外商標を出願する際には、現在の商品だけでなく、今後3年から5年以内に展開する可能性がある商品を確認する必要があります。特に、単一商品ではなく、趣味、デザイン、ライフスタイルを提案するブランドでは重要です。

また、中国市場では英語ブランド名だけでなく、中国語表記、発音上類似する名称、簡体字・繁体字、現地消費者が実際に使う呼び名も検討すべきです。

Pine IP Firmの見解

商標出願は、名称を登録するだけの手続ではありません。ブランドの事業領域を設計するプロセスです。海外進出前には、商標を出願したかだけでなく、将来の事業拡張に必要な商品区分と現地語表記まで確保されているかを確認すべきです。